[未練打ち]の検索結果一覧

  • その1

    その1

    その1

      

    木村魚拓

    更新日:

    いつだったかコンビニで786円分の買い物をした。今あるだけでも邪魔なのに、これ以上、小銭が増えるのは勘弁と、ありとあらゆる硬貨をふんだんに織り交ぜカウンターに836円置いたところ、それまで無機質にレジをこなしていたおっさんの表情が一変。「あぁぁぁぁチクショー、面倒くせーなー!!」。これ見よがしに髪をかきむしっていた。
    あの一件以...
    ブログ
  • その2

    その2

    その2

      

    木村魚拓

    更新日:

    生まれはイングランドだが、この日本で出会いと別れを繰り返し、今や日本人より日本人らしい日本人と呼ばれる者として、キミ達に言っておきたいことがある。外国からやってきたキミ達に、キツく言っておきたいことがある。
    まずはエヴァンゲリオンを打っていたアメリカ人。キミ達はアレか、観光か。キミ達の国にある、大味なスロットマシンとはひと味違う...
    ブログ
  • その3

    その3

    その3

      

    木村魚拓

    更新日:

    「昨日もうなされていたよ」と嫁が言う。息絶える直前の魚のように、口をパクパクさせていたかと思えば、次の瞬間、まるでふかしたての肉マンを頬張るかのようにハフハフしていたそうだ。
    ホントかよとも、その状態はうなされてるって言うのかよとも思うわけだが、確かに近頃、妙な夢を見ることが多い。もしかしたら、疲れているのかもしれない。
    「そう...
    ブログ
  • その4

    その4

    その4

      

    木村魚拓

    更新日:

    今朝も携帯の留守電にメッセージが残されていた。「おはよう。シゲ子だけど、電話ください」。
    これで3日目だ。3日続けてほぼ同じ時刻にシゲ子から電話の催促があったことになるが、どうやら彼女は徐々に苛立ってきているようだ。
    おとといは「おはよー」と、「よ」に伸びがあった。ダルビッシュのストレートに勝るとも劣らぬ伸びがあったのに、昨日は...
    ブログ
  • その5

    その5

    その5

      

    木村魚拓

    更新日:

    有史以来、人は戦いの歴史を繰り返してきました。現に今も私は強烈な睡魔と戦っとりますが、しかし何故にこの人はそうまでして戦うのか。悩み、傷付きながらも戦い続ける理由がどうしてもわからんのです。
    私が望んだわけではありません。無理強いもしていません。むしろ私は止めました。ビッグマックだけでも危ういのに自らの実力を顧みず、無謀にもLL...
    ブログ
  • その6

    その6

    その6

      

    木村魚拓

    更新日:

    私が足繁く通う近所の「ダメな店」は、設定状況がてんでダメな、もし居酒屋で隣り合わせたら「お前はホント、ダメだよな」と軽口を叩けるダメな店であるが、時折のぞくその店は、軽口どころか深い溜め息をつく他はない、本当にダメな店なのである。
    呼び出しランプを押してもしばらく音沙汰はなく、ようやくやってきたと思ったら、パチンコ玉が溢れそうな...
    ブログ
  • その7

    その7

    その7

      

    木村魚拓

    更新日:

    決して熱くはない、丁度いい湯加減の温泉に、肩まで浸かって吐息を漏らすあの瞬間、疲労や緊張が湯に溶けていくのがわかるあの瞬間と同じ緩みきったテンションで、普段はこのマニアと親戚にしか読まれぬコラムを書いているのだが、緩むどころか今はカチカチである。
    今少し前、私はネット麻雀に興じていた。トップと800点差の2着で迎えたオーラス。上...
    ブログ
  • その8

    その8

    その8

      

    木村魚拓

    更新日:

    知らぬ間に落ちてしまい、午前8時に配信されるものを7時半になって慌てて書き始める、このルーズでアバウトなところに気安さを感じるのか、読者の方からちょくちょく相談のようなものを持ち掛けられるから、私でいいのかしらと思いつつ、相談する相手を間違っちゃいないかなどとも思いつつ、文面から察するに、投資が5万を超え青くなっていそうな方には...
    ブログ
  • その9

    その9

    その9

      

    木村魚拓

    更新日:

    近所のダメなスロ屋では渋さを身体ごと受け止め、打てども打てどもフリーズが引けぬパチスロ「ガンダムⅢ」では低設定の辛さを痛感し、今は「いなり」をにらみつけるばかりで一向に箸が進まぬ嫁を横目に見ながら苦い思いをしている私に、先日、口の奥がキュッとなるような甘酸っぱいメールが届いたのである。
    「憶えてますか」から始まるそのメールは、1...
    ブログ
  • その10

    その10

    その10

      

    木村魚拓

    更新日:

    私は今、崎陽軒のシウマイが無性に食べたいのだが、奴は今、何が食べたいのだろう。
    何年か前のピロートークでついつい勢いで顔写真を載せてしまった他、未練打ちの単行本にもタンクトップ1枚のあられもない姿をさらしてしまった、友人の武藤が心臓を患い入院した。
    既に手術を終え、今は検査の真っ最中ということで、そろそろ普通の食事を取れるはずだ...
    ブログ
  • その11

    その11

    その11

      

    木村魚拓

    更新日:

    「萌え系」「出会い系」、そして横浜を発祥とする「家系」なるラーメンとはほとんど無縁の生活を送ってきた私は、先日、その旨さに気付くに至り、今や毎晩でも豚骨醤油ベースの濃厚スープをすすっていたい、何なら濃厚スープに飛び込みたいと考えるものであるが、残念ながらその流れを汲むラーメンを提供する店は近所にない。
    ないとは知りつつ諦め切れず...
    ブログ
  • その12

    その12

    その12

      

    木村魚拓

    更新日:

    空港内の、じきに夏だってのに寒々とした空気感が漂う喫茶店で、急ぎ原稿を仕上げようと、ノートPCを広げた私の耳に飛び込んできたのは、おそらくこの世で最もくだらないお願いだった。
    「ごめんなさい。ホントにごめんね。お願い、許して。ダメ?そんなこと言わないで。ねえ、ねえアタシ、知らなかったの。よっちゃんが吉野家が好きだって、ホントに知...
    ブログ
  • その13

    その13

    その13

      

    木村魚拓

    更新日:

    電車に揺られていると、目の前の席が空いた。
    その場に自分しかいなければ咎められる理由はない。そこがたとえ優先席だとしたって堂々と座るにしても、他に人がいる時には「オレは果たしてこの席に座る資格があるのだろうか」と、周囲を確認するぐらいのことは彼らだってしているはずなのに、何故に新鬼武者に対してはそこまでがっつくのか。
    先日、隣で...
    ブログ
  • その14

    その14

    その14

      

    木村魚拓

    更新日:

    ひとつとしてミスが思い当たらぬ100点の立ち回りなんてのは、20年打ってきて1度もない。
    台選びとか、ヤメ時とか、肝心なところでのヒキだとか、1日打ってりゃ何かしら減点対象となるポイントがあるわけで、アベレージはおそらく40点台。真っ直ぐ転がせぬ初心者のボーリングと同程度であり、ひどい時になると20点台に落ち込むわけだが、それで...
    ブログ
  • その15

    その15

    その15

      

    木村魚拓

    更新日:

    何とかなるさが身上の私ではあるが、前回の件に関し、不安を抱えていなかったと言えば嘘になる。
    何しろ6点だ。泥酔したまま試験を受けたとか、誤って1本しかない鉛筆を食べてしまったとか、余程の事情がない限りなかなかお目にかかれぬ、できることなら墓場まで持って行きたいテストの結果を、まるで白い鳩を大空へと放つかのように、万人の目に触れる...
    ブログ
  • その16

    その16

    その16

      

    木村魚拓

    更新日:

    かつて開店直後のBGMは軍艦マーチと相場は決まっていたものだが、昭和が遠い過去となりつつある今、ドーンと背中を押してくれる軍艦マーチがホールに流れるのはジャグの1G連のみ。めっきり聴かなくなったのは構わない。軍艦マーチの代わりに何を流したって構わないのだが、やってやるぞと意気込む朝に、どう考えたってセリーヌ・ディオンはないだろう...
    ブログ
  • その17

    その17

    その17

      

    木村魚拓

    更新日:

    酔おうとしたがほとんど酔えなかった。ならば食おうとカレー用のスプーンを握りしめたが、たった2杯しか食えなかった。
    私に対する評価は高い、両親や祖父母に続く、ドラフトで言えば6位ぐらいの評価を受けているに違いないと安閑としていた私がバカだった。いざ蓋を開けてみれば、久しぶりに会った隣人の息子は私の顔を見るなりおびえ始め、ついには号...
    ブログ
  • その18

    その18

    その18

      

    木村魚拓

    更新日:

    パチスロといえばリール、コーヒーといえばクリープ、相撲といえば押し出し、焼き肉といえばカルビなのに、そのカルビがないとはどういうことか。
    「申し訳ありません。本日カルビが終わってしまいました」
    コーラが運ばれてきた後だった。さあメインたる肉を頼もうと、「カルビ」の「カル…」まで言ったところで、控えめどころかむしろ食い気味に、オー...
    ブログ
  • その19

    その19

    その19

      

    木村魚拓

    更新日:

    東北地方へと向かう特急電車は、途中から乗り込んできた4人組が酒盛りを始めたせいで、ここは休日の遊園地か学生街にある居酒屋かと錯覚するほどに騒がしい。
    こんなことなら占いを見ておけばよかった、ラッキーナンバーの車両に乗っていればと、ついつい占いに不運の理由を求めようとするのは、結局のところひと言注意する勇気や元気が足りないだけ。何...
    ブログ
  • その20

    その20

    その20

      

    木村魚拓

    更新日:

    深夜、渋谷でタクシーに乗り込み、シートにぐったりと背を預けたまま大きく息を吐くと、白髪の運転者が静かに口を開いた。
    「お仕事の帰りですか」
    返事を待たずに運転手が続ける。...
    ブログ