三十男のピロートーク

パチスロ必勝ガイドのブログ「スロガイフラグ」で2005年から連載された木村魚拓のコラム。(当時)三十男がつぶやくピロートークには、甘さの中に苦味を隠した大人の男の在り様が綴られているが、ベッドで語り合うものとはまるで違う。

※毎週月曜アップ予定!!

その3

2020/02/24

 

「昨日もうなされていたよ」と嫁が言う。息絶える直前の魚のように、口をパクパクさせていたかと思えば、次の瞬間、まるでふかしたての肉マンを頬張るかのようにハフハフしていたそうだ。


 ホントかよとも、その状態はうなされてるって言うのかよとも思うわけだが、確かに近頃、妙な夢を見ることが多い。もしかしたら、疲れているのかもしれない。


 「そう、きっと心が疲れてるの。夢占いの本で調べたら、何かわかるかも」。そう言われて、昨日見た夢を、包み隠さずそのまま話した。


 助手席に私、運転席にはヤンキースの松井。西友で米や醤油、豚バラ肉といった食材を買い込み、大塚愛の家へ向かっていた。


 渋谷駅前のスクランブル交差点。信号が青に変わり、発進しようとした瞬間、運転に不慣れな松井がエンストをぶっこく。そのとき、私はどういうわけか異常なまでにクラクションを恐れていた。


 「鳴らすんじゃねーぞ!! 絶対に鳴らすんじゃねーぞ!!」。エンジンがかかるまでの間、後ろのトラックがクラクションを鳴らさぬよう、窓から身を乗り出し必死に叫んでいると、運転席の松井が静かに言った。「ゴメン…」。


 蚊の鳴くような声で謝ってから、何を血迷ったのか松井がクラクションを押すと、聞こえてきたのはビンゴの「ブッブー」。手で耳を押さえ、ワーーーーッと叫んだところで目覚めたのだと話したら、それまでフンフンと聞いていた嫁がしばし後、「野球」というキーワードで夢占いを始めた。


 …果たして、この夢をどう要約したら野球になるんだろう。松井か、松井に目がいってるか。


 難儀な仕事を抱えているため、おそらく今夜は寝られそうにない。「じゃあ今日は安心だね」。それも違うような気がする土曜の早暁。皆様はどうか素敵な週末を。

 

 

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