2020/05/11
ひとつとしてミスが思い当たらぬ100点の立ち回りなんてのは、20年打ってきて1度もない。
台選びとか、ヤメ時とか、肝心なところでのヒキだとか、1日打ってりゃ何かしら減点対象となるポイントがあるわけで、アベレージはおそらく40点台。真っ直ぐ転がせぬ初心者のボーリングと同程度であり、ひどい時になると20点台に落ち込むわけだが、それでも20点台である。自己採点で10点を下回る立ち回りというものは、さすがに経験がない故にどうしていいかわからず、思案に暮れているのである。
パチスロパチンコはやらないけれど、何かの偶然でたまたま私を知ったと語る女子がいる。文面から察するに、おそらく10代だろうか。私とは親子ほどに歳が離れているであろうその女子は、ピロートークにくっついた宛先にちょこちょこと近況報告を送ってくれるのだが、8月の終わりだったか、じきにテストがあるので頑張りますと、そんなメールが届いたのである。
口にしなくなって久しいテストという言葉の響きが、私を遠く離れた場所にいるお父さんにさせ、メールを読んだその夜、山に向かって叫んだような気がする。
頑張れよー。
小学校の体育館が目の前をふさいでいる我が家から、山なんぞ見えやしない。空想の中に広がるアルプスに叫んでからおよそ3週間後、女子から結果が送られてきた。
「数学のテスト6点でした…。魚拓さんも田山プロに負けないように頑張ってください」
…言いたいことは山ほどある。ポロリや無道ならまだわかるが、何故唐突に田山プロなのか。そもそもどうして私が、不世出の偉人と戦わねばならぬのか。オイ娘、ちょっと待て。冷蔵庫にある麦茶でも飲んで少し落ち着けといったところだが、それより何より最も気になるのは数学の点数。6点ってなんだ、6点って。自慢できるのは買い足しの勢いだけ、立ち回りに難ある私だって、さすがに6点は記憶にないのである。
ここはひとつ、遠く離れた父親として、オレよりむしろお前が頑張れときつく叱った方がいいのだろうか。それとも、沈黙を守り自主性を促した方がいいのだろうか。お父さん、娘のことが心配で心配で筆が手につかず、今回は3時間遅れの更新である。
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