三十男のピロートーク

パチスロ必勝ガイドのブログ「スロガイフラグ」で2005年から連載された木村魚拓のコラム。(当時)三十男がつぶやくピロートークには、甘さの中に苦味を隠した大人の男の在り様が綴られているが、ベッドで語り合うものとはまるで違う。

※毎週月曜アップ予定!!

その5

2020/03/09

 

 有史以来、人は戦いの歴史を繰り返してきました。現に今も私は強烈な睡魔と戦っとりますが、しかし何故にこの人はそうまでして戦うのか。悩み、傷付きながらも戦い続ける理由がどうしてもわからんのです。


 私が望んだわけではありません。無理強いもしていません。むしろ私は止めました。ビッグマックだけでも危ういのに自らの実力を顧みず、無謀にもLLセットにしようとするから、キミキミそれはおそらく無理ですよと、LLクールJ太郎はキミにはまだ早いですよとそれとなく忠告したのに、嫁は忠告を無視してビッグマックのLLセットに加え、アップルパイまでオーダーしたのです。


 テーブルについて5分後には案の定、ビッグマックを持つ手がピタッと止まりました。スロで言うところのビタ止まりです。


「これ、美味しいよ。食べてみる?」


 いらんのです。今の今まで同じものを食べていたわけですから、美味しいことは知っているのです。


「そうだよね。結婚したと言っても他人だもん。他人の食べかけなんかいらないよね…」


 違うのです。男っぽいところを見たいだの、キムラくんならできるだのと言われ、無理矢理付き合わされたLLセットを完食し、すでに私も満腹。だから残してはどうだと、もう十分戦ったからと救いの手を差し伸べますが、残すことに罪悪感があるのか、自らオーダーしたことからくる責任感がそうさせるのか、首を横に振ってビタ止まり…。


 わからんのです。毎日毎日飽きもせず、嫁が許容量を超えるご飯と戦う理由がひとっつもわからんのです。その理由を理解できたとき、より強い絆で結ばれるような気がしないでもないのですが、ハンバーグが綺麗に抜き取られた、食べかけのビッグマックは本当にいらんのです。

 

 

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