2020/06/15
東北地方へと向かう特急電車は、途中から乗り込んできた4人組が酒盛りを始めたせいで、ここは休日の遊園地か学生街にある居酒屋かと錯覚するほどに騒がしい。
こんなことなら占いを見ておけばよかった、ラッキーナンバーの車両に乗っていればと、ついつい占いに不運の理由を求めようとするのは、結局のところひと言注意する勇気や元気が足りないだけ。何が占いかとは思うものの、実はわたくし嫌いじゃない。麗しき女性と占いに関しては、積極的に絡んでいきたいと常日頃から考えているのである。
未来を言い当てろなんて無茶は言わない。前世がどうこうには興味もない。仕事及び恋愛は、赤の他人に口を挟んで欲しくない。占いに私が求めるもの、それはあくまで「ホメ」である。
果たしてこれはキャラのせいなのか、単にホメどころがないだけなのか、面と向かってホメられたことなどほとんどない。であるからして、自分のどこが優れていて、何に向いているのか、内容はどうあれホメにホメてもらい、ウフフウフウフとうっとりするがために、夢占いなら任せてと豪語する女性に前の晩に見た夢を話したのである。
あれは関西か福岡か、一路羽田へと向かうべく空港の保安検査場を通過しようとすると、身体チェックはパスしたものの、検査員にバッグを開けるよう指示された。バッグの中身をまさぐる検査員。と、何かをむんずと掴み出し、険しい表情で「これは何ですか」と聞いてきた。
パンツだった。何ですかと言われても昨日履いたパンツだとしか答えようがない。わけがわからずしばらく口ごもっていると、検査員は続けた。
「随分と汚れてるじゃないですか」
周囲から失笑が漏れる。パンツの汚れと安全な飛行。冷静に考えるとまるで繋がらないものの、その時は羞恥心が先に立ち、「そこまで汚れてないですよっ!!」、大声で叫んだところで目が覚めたのだと伝え、どうホメてくれるのかドキワクしていると、夢占いの彼女は子供をあやすかのような優しい声で、「疲れてるんだね」と静かに言ったのだった。
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